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  [相続]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.23(先代の相続手続未了の際の相続について)

私の父が亡くなりましたが,父の遺産としては,両親が住んでいた自宅不動産に多少の定期預金がある程度でした。

ただ,自宅不動産は登記上,父の父(私の祖父)の名義のままになっています。

そのことは父の生前にも話をしたことはあるのですが,私の祖父が亡くなった際には祖母が暮らしており,祖母が亡くなったときにも,父は兄弟(父は3人兄弟の長男で,弟2人がいます。)の間では,自分が単独で貰うことで話がついていると言って,結局は,相続登記どころか遺産分割協議さえも何もしていなかったようです。

実際,父の葬儀の際に,父の兄弟とも会い,話をしましたが,母が一人暮らしになることを心配してくれて,頻繁に顔を出すようにというだけで,自宅不動産が祖父名義であることや相続の話は一切出てきませんでした。

相続人は,母と私と兄の三人で,私達の間では,私達兄弟は各々結婚して独立して生活しており,特に遺産を貰いたいとは思っていないので,全て母が相続するということで,話はついているのですが,不動産の登記が祖父名義になっているのが気になります。

今更,父の兄弟がどうこう言ってくることはないとは思いますし,不動産の登記のことを話すと,それこそ寝た子を起こすようなことになるのではないかとも思いますので,このまま,祖父名義のままにしておこうかと思うのですが,法律的にみて,問題はないものでしょうか?
 
A.23

ご質問のようなケースもよく聞かれるケースで,事実上問題がないからとか,登記代がもったいない等の理由で,不動産登記が先代や先々代のままの名義で放置されていることは,結構あるようです。
確かに,相続登記は義務ではありませんので,相続登記をしないからといって罰則があるわけでもありませんし,固定資産税は実際の居住者に対して請求されますので,固定資産税を納付されていれば,役所からも督促もされません。

そのため,日常の生活において,特に不便を感じられず,そのまま放置されているケースもあるようです。

ですから,実際問題として,相続登記を放置していることで法律上問題があるかというと,法律に違反してるとして罰則を受けるような問題はないと言って構いません。
この点について,相続税のことを心配されることがあるかもしれませんが,登記と相続税の申告は全く別のものとして扱われますので,御祖父様の相続時に相続税の申告が必要であった場合でも申告と納付が出来ていれば,相続登記をしないままで放置していても,特に問題にはなりません。

現時点で,特に税務署からの督促や連絡が入っていなければ,調べた方が確実ではあるでしょうが,相続税の問題はないと思っていただいて構わないかと思います。
しかしながら,結論から言いますと,自宅不動産の名義を御祖父様の名義のままに放置しておくことは,将来,別の意味で問題が発生する可能性が極めて高いものと言わざるを得ませんので,今回のお父様の相続の際に,きちんと相続登記をされて,お母様の名義にされておくことをお勧めします。
まず,現状において,あなたのお父様の自宅不動産は,法律上は,お父様とご兄弟2名の3名の共有状態になっています。

すなわち,自宅不動産の登記は本来であれば,お父様とご兄弟の3名が各々3分の1ずつを共有しているという形で登記していなければならないのです。

亡くなられたお父様を含めてあなた方家族の皆様は,自宅不動産はお父様が自分1人で所有されているものと思ってこられたのでしょうが,法律上は,上記の共有状態(つまり,1年のうちで3分の1の期間〔約121日〕ずつはご兄弟各々が自宅に住むことができる権利を持っていると思っていただければ分りやすいかと思います。)となっているのです。
ところで,この状態で放置していることが,どのような問題を引き起こす可能性があるかというと,
 

1.将来,自宅不動産を売買することになったり,自宅不動産を担保にしてお母様が融資を受ける,自宅不動産が損壊した場合の補償を受けることになる等の場合,お母様単独の登記をしてからでないと手続が進められず,このままで手続を進めようとすれば,相続人全員で手続をするしかなく,その機会を失いかねない。

 

2.お父様のご兄弟が債務(借金等)を有しておられて,その債務が支払えなくなったりした場合に,債権者からご兄弟の持分について差押をされる可能性があり,その場合には,最悪,自宅不動産が家族とは全く無関係の第三者との共有という極めて不安定な状態となってしまう。

 
というような問題が考えられます。
1.の場合,そのような事態を検討しなければならなくなった時点で,相続登記すればよさそうです。

しかしながら,相続人の状態が現状のままだとしても,遺産分割協議や相続登記をするためには,あなた方家族3名とお父様のご兄弟2名の5名で話合いや手続をしなければなりません。

又,その時点でお父様のご兄弟の方が亡くなられているときは,ご兄弟の相続人の方全員を含めて話合い等をしなければならなくなります。

この場合に注意してほしいことは,遺産分割協議をすべきご兄弟の相続人は,お父様からみておいやめいの立場になられますが,お父様の第3順位の相続人(兄弟姉妹)の代襲相続人ではなく,御祖父様を相続されたご兄弟の第1順位の相続人ですので,時間が経てば経つほど,相続人の範囲が異常に拡大する可能性があることです。
ちょっと長くなりますが,ご質問のケースを例にしてシミュレーションしてみます。現時点では,御祖父様の相続人はあなた方家族3名とお父様の弟様(次男,三男)2名の5名ですが,遺産分割協議を放置して時間が経ち,後日,協議をしようとした時点のことを,以下のように仮定して考えてみます。

a. お父様の弟様は2名とも既に死亡されている。
b. 次男様には奥様とお子様1人がいる。
c. 三男様にはお子様はなく奥様だけであったが,三男様の死後,すぐに奥様も死亡された(つまり,三男様の奥様は,三男様の相続分を全部相続された上で死亡されたことになります。)。
d. 三男様の奥様の相続人は,奥様のご兄弟3人であった。


このケースでは,御祖父様の相続に関して相続分を有する人は,あなた方家族3名,次男様の奥様とお子様の2名と三男様の奥様の相続人3名の,合計8名にまで増えてしまいます。

その上,この時点でも,あなた方家族と叔父様(三男様)の奥様のご兄弟とは,ほとんど交流がなく,親戚関係としての付き合いはほとんどないという可能性は結構高いと考えられます。
以下に,シミュレーションの内容を簡単な図にして説明していますので,ご参考になさって下さい。

相続人シミュレーション
次に,その時点でも遺産分割協議をしないままで時間が経過して,三男様の奥様のご兄弟も亡くなられていると仮定すれば,そのご兄弟各々の相続人が,元々の三男様の相続分を引き継ぐことになりますので,更に相続人の数は増えてしまいますし,当然ながらより交流の少ない方が相続人となられる可能性が高くなります。
このように,相続に関しては,相続の手続を取らずに放置された場合には,相続をされた方が亡くなれば,その方の相続人が権利を次々と引き継ぐことになりますので,相続人の数はどんどん増えていき,その関係もどんどん薄くなっていくことが多いのです。

そのため,それこそ,会ったこともなければ存在すら知らないような方が,御祖父様の相続に関して相続人として権利を主張されることになりかねないのです。
一般的には,相続を数世代放置しておいた場合,相続人の数が数十名近くになることも結構多いものです。

あなたの場合でも,お父様の代であれば,相続人の数は3名(お父様と兄弟2人だけ)でしたが,遺産分割協議を放置していたことによって,現在は5名に,それでも放置していて上のシミュレーションのように状況が変化した場合には,相続人の数は8名と当初の2倍以上に増えていることからも,その可能性は簡単に想像していただけるのではないでしょうか。
もし,そのような事態になったときは,相続人全員を確定するためには,戸籍謄本等を全員分取得することが最低限必要となりますので,非常に時間や手間と費用がかかることになるのはもちろんですが,それだけ多数の相続人がいる場合には,それこそ何の面識も無い方と,突然,思ってもみなかったような相続の話をしなければならないことにもなり,相続人全員の同意を得ることが,非常に困難となるであろうことはお分かりいただけることと思います。

又,万一,相続人全員の同意が得られなければ,同意を得られなかった相続人に対しては,家庭裁判所に調停を申立する必要等も出てくる可能性も否定できませんので,相続登記を完了するまでには,更に多大な時間と労力を必要とすることになります。
あなた方兄弟のいずれかが,将来お母様がお亡くなりになられた際には,自宅不動産に戻られる等の予定がおありだとして,当面,1.のような売却等の事態が発生する可能性はないとおっしゃられるかも知れません

ただ,あなた方のお子様等が自分達の代になっても同様になさるかは分りませんし,上のシミュレーションでもお分かりいただけると思いますが,結局は,現時点でも面倒な手続を,先送りしてより面倒な手続にして残すだけのことにしかなりません。

又,先般の東北大震災の補償の話では,ご質問のように,自宅不動産の登記名義が自分でない方については,相続手続がなされていないために,補償の話が進められないままとなっているという話もありますので,万一のことがあったときに,なかなか補償が受けられないという可能性も否定できません。
一方,2.の場合には,自宅不動産がご兄弟の持分について競売手続にかけられ,全く見ず知らずの第三者が落札して共有者となるような最悪の可能性が残ります。

その場合,最終的には落札した第三者から共有物分割請求の裁判(共有している不動産を売却する等して売却代金を分割することを求める裁判だと考えてもらって構いません。)を提起されてしまい,自宅を維持するためには落札した第三者に対して持分に相当する価格賠償をする等のことが必要となります。
又は,競売手続において落札するか,ご兄弟の債権者に対してご兄弟の債務を肩代りして弁済することで競売手続を取り下げてもらうことをしなければなりません。

しかし,不動産の競売手続は,いわゆるオークションですので,最高価格で入札した方が落札することになり,たとえ自分が入札しても他に高額の入札をした方がいれば負けてしまい,最高価格での入札者が不動産を取得することになりますので,確実な方法ではありません。
又,肩代りして弁済した金額については,当然のことながら,債務を有しておられたご兄弟の方に請求する(求償するといいます。)ことは法律上は可能ですが,債務の弁済ができず競売手続が行われたような状況の下で,ご兄弟に請求したとしても,その回収は事実上困難であろうことはお分かりいただけると思います。
以上のような問題が発生する可能性が残りますので,現状において,お父様のご兄弟の方と話合いをして,お母様が単独で相続できるよう遺産分割協議を行い,相続登記を完了されることをお勧めします。

どのように話をすればよいかご不安でしたら,遠慮なくご相談下さい。
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