安心できるシニアライフのために!相続・遺言,後見のことなら,お気軽にご相談下さい!
大阪の予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所です

トップページ 取扱業務内容 基本料金一覧表 事務所ご案内 お問い合わせ
 

  [相続]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.18(名義は違うが実質的に自分のものと考えている財産の相続について)

私は,長年,田舎の方で,自宅の一角を使って妻と2人で小さな工場を経営して来ましたが,何とか経営は安定しており,従業員も数名雇ってきています。

子供は3人おり,長男が2年前に大学を卒業してからは,私の工場を手伝うようになってくれるようになりました。

長男は学生結婚をして,子供も2人いますので,近くの賃貸マンションから,毎日,実家に勤めに来ておりました。

他に,子供は次男と長女の2人がおりますが,2人とも結婚して独立し,遠方で生活をしております。

ところで,今年に入って,工場の経営を長男に任せていくようにしようと思い,将来は自宅に戻って経営を続けてくれるであろうからと,工場兼自宅不動産の名義と工場の運転資金用のメインの銀行口座は長男の名義に変更し,私は長男の仕事を手伝うという形にして経営を続けてきました。

贈与税の問題は,顧問の税理士の方と相談し,多少税金を支払うことにはなりましたが,問題なく済ませましたし,長男への名義変更については次男と長女も納得してくれました。

もちろん,将来は長男に全て渡すつもりではありましたが,現時点ではまだ実質的な経営者は私ですので,これから経営の中心を私から長男に徐々に移していくことを明らかにするために名義だけを移したに過ぎず,実質的には私の財産のつもりでおりました。

又,そのことについては長男も了解しており,名義が自分のものとなっても,まだ実質的な経営者は私であり,自宅と預金口座は自分のものと言うよりは工場のものであると思っているので,自分が好き勝手に処分はしない旨を約束してくれていました。

ところが,先日,悲しいことに長男が交通事故にあって亡くなってしまいました。

すると,長男の嫁から,私達夫婦の自宅と工場の銀行口座は,長男の名義になっていることから,自分達家族が相続の手続をするので,自宅を明渡して,銀行の預金通帳を渡してもらえないかとの申出がありました。

自宅は工場を兼ねており,明渡してしまっては工場も閉鎖しなければなりませんし,銀行預金についても,現実に取引に使用しておりますので,これを長男の家族で分割されてしまうと,取引先への買掛金の支払等もできなくなって工場はつぶれてしまい,数名いる従業員を路頭に迷わすことにもなりかねません。

私としては,あくまで名義上のことで,私が亡くなるまでは自分のものであると思っていましたので,長男の嫁からの申出は断りたいと思っているのですが,法律上,私の主張は認めてもらえるのでしょうか?
 
A.18

ご質問のようなお話も時々伺うことがあります。

自分の事業をお子様に継いでもらうに当たって,経営者としての自覚を促し頑張ってもらいたいというように思われたり,又は取引先に自分の事業を将来は自分のお子様に引き継いでもらうことを示すために,更には近い将来に自分が引退するときのことを考えて等色々な理由で,事前に事業用の資産をお子様名義になさっている方もおられると思います。
しかし残念ですが,ご質問のケースでは,法律上はご長男のお嫁さんの主張が認められることになります。

すなわち,自宅不動産も銀行口座もご長男のご家族での遺産分割の対象になりますので,あなたとご長男のお嫁さん等との間であなたの財産であるとの合意等ができる等の事情がなければ,最終的にはご長男の相続人等に対して渡さなければならないことになると思って下さい。
確かに,あなたがおっしゃる通り,自宅兼工場の不動産や銀行の取引口座等は,あなたが長年工場を経営してきた中で取得された財産で,実質的にはあなたの財産であるとのご主張は,心情としては理解できます。

しかしながら,ご質問の内容からは,例えば,ご長男のお嫁さんが子供さんとの間で遺産分割協議を行い(ご長男のお子様は未成年と思われますので,特別代理人選任の手続はされているものとします。),その遺産分割協議書に基づいて,不動産の登記や銀行預金の解約等の相続の手続を取られるのであれば,名義がご長男のものである以上,法務局,銀行とも相続の手続には応じることになります。
この点で,大学を卒業してわずか2年程度の間に,ご長男が自宅不動産を取得したり,多額の銀行預金を有するほどの働きをされたものではないであろうということは十分に分りますので,実質的には,全てあなたの財産であるというご主張も分らない訳ではありません。

ただ,自分の財産を生前に子供に贈与することは何ら禁じられているものではありませんので,名義がご長男のものとなっていて,しかも贈与税も納めておられるということは,あなたからご長男に実質的に贈与がなされ,ご長男の財産と判断されてしまうことは止むを得ません。

もちろん,あなたの事業が株式会社にされている等の法人であり,不動産や銀行預金の名義がその会社名義となっていて,代表者をご長男になさっているだけであれば,不動産や銀行預金は会社のものですので,ご長男の相続の対象にはなりませんが,自営業者でご長男の個人名義となっていれば,ご長男の相続の対象となってしまいます。
そこで,ご長男のお嫁さんに事情を説明して,事業用の資産については現時点では実質的にはご長男のものではないことを認めてもらい,ご長男の遺産分割の対象から外してもらう以外には,実質的にはあなたの資産であるとして扱ってもらえる方法はないと思います。

ですから,工場を続けていかれるに当たっては,まずは,資金ショートを起こさないように取引用の銀行口座をメインのご長男名義の銀行口座以外に確保される等した上で,場合によっては取引先にも支払を待ってもらうよう申出をされる等の資金的な手当をされた上で,ご長男のお嫁さんと話をされるようにしなければならないのではないかと考えます。
更に,その際には,ご長男のご家族に対して,自宅不動産と銀行口座をご長男の遺産から外してもらう代わりに,それら以外で何らかの財産を渡す等の話も必要になるかもしれません。

又は,自宅不動産についてはご長男のご家族で相続された上で,あなたが工場の部分を賃借するような形を取られて,その賃料をもってご長男のご家族が自宅不動産を処分できないことの代償として支払うことも考えられるかと思います。

但し,一旦は自宅不動産と銀行預金がご長男の名義になってしまっている以上,それを受け戻されることになる場合には,ご長男の相続人からあなたへの贈与となって,贈与税の問題も考えないといけないことになりかねませんので,税理士の方にもご相談される必要があることには注意が必要です。
もし,話合いがつかず,裁判等になった場合に,あなたの方から,ご長男の名義になっているのは形式上のことに過ぎず,実質的にはあなたの財産であることを主張するということは,主張すること自体は可能です。

但し,ご相談のケースでは,ご長男が無理やりに財産を奪い取った等の事情もなさそうですので,残念ながら,裁判所であなたの主張が認められる可能性は極めて低いものと言わざるを得ません。

早急に専門家にご相談なさることをお勧めします。
Q.18のページへ戻ります   A.17のページへ戻ります   A.19のページに移動します
 
Copyright © 2013 大串真コ行政書士事務所 All rights reserved.
by 予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所