安心できるシニアライフのために!相続・遺言,後見のことなら,お気軽にご相談下さい!
大阪の予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所です

トップページ 取扱業務内容 基本料金一覧表 事務所ご案内 お問い合わせ
 

  [後見]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.7(後見人の仕事と責任について)

私には,老人性痴呆症で,日常の会話もほとんどできなくなった父がいます。

先日,家庭裁判所に父の「後見」の申立てをしたのですが,その際に,私は父と同居していますので,後見人の候補者として私を希望する旨を記載して申立てしました。

しかしながら,私は製造業に従事している者で法律のことはほとんど分りませんので,後見人がどのようなことをすればよいのか,又,どのようなことはしてはいけないのか,詳しくは分らないままです。

後見人の仕事や責任の内容について教えてもらえないでしょうか?
 
A.7

まず,後見人が行う仕事としては,本人の生活・療養看護に関することと本人の財産管理があります。

具体的な役所や金融機関等への届出等の手続内容については,ここでは省略しますが,具体的な手続内容についてご確認されたいときは,別にお問合せ下さい。
なお,当然のことですが,本人の財産を管理することは後見人の主要な仕事ですので,通常,お金の管理をするに当って必要とされる程度の注意を払って職務を行うことが法律上定められています(例えば,各種団体,同窓会やPTA等の会計担当者に必要な程度の注意かそれよりもう少しだけ注意を払う必要があると思っていただければ,分りやすいのではないかと思います。)。

これを善良なる管理者の注意又は善管注意義務といいます。
又,本人の医療や介護等の契約等,単純な財産的な取引以外の事柄でも,本人に関らなければなりませんので,本人の意思を尊重し,本人の心身の状態や生活の状況にも配慮して,後見人としての職務を行わなければならないという身上配慮義務を負うことも定められています。

ですから,たとえ,本人にはほとんど判断能力は無いような場合であっても,後見人が自分の考えだけを勝手に押し付けるような職務を行うのではなく,定期的に本人を訪問して,本人の状態を確認しながら,本人のためになるように職務を行わなければならないことになりますし,介護サービス業者と介護契約等を締結したような場合や特別養護老人ホーム等の施設に入所しているような場合には,適切な介護や世話がなされているかを定期的に確認する必要も出てきます。

また,実務上,家庭裁判所への定期的な報告の際には,本人の状態についての報告も求められますので,本人との面会や会話の内容については,その都度記録しておくことをお勧めします。
以上の義務を負った上で,本人の生活・療養看護に関することと財産管理をしなければならないことになり,これらを有効になしうるために,後見人には代理権と取消権が与えられ,本人の代理人として行動する,本人が単独で行った法律行為を取消しすることができることになります。

なお,「保佐」や「補助」の場合には,保佐人等に同意権が与えられますが,後見開始相当の方は,後見人に同意してもらったところで,本人自らが理解ができず,単独で有効な法律行為をできる状態ではなく,同意権を与える意味がありませんので,後見人には同意権は与えられません。
具体的には,本人の生活・療養看護に関することは,本人の介護契約・施設入所契約・医療契約等を代理して行うことと,本人の生活に必要な費用を本人の財産の中から計画的に支払うことが中心となります。

なお,本人の手術に対する同意については,法律上,後見人には同意権は与えられていないのが現状ですので,そのような場合には,医師に対して同意ができない旨を申し出ることや,家庭裁判所や後見監督人にも連絡していただくことが必要になるものと思って下さい。

財産管理については,本人の財産を管理すること,本人の財産に関する法律行為を代理して行うこと,本人が単独で行った法律行為を取消すことが中心となります。
当然のことですが,後見人は本人の財産を管理する立場となりますので,後見人自身の財産と本人の財産を一緒にしたり(混同するといいます。),本人の財産を管理のために後見人の名義にするようなことはできません。

又,財産管理については,本人の財産に損害を与えないような安全な方法を取らなければなりませんので,本人の財産から株式投資や先物取引等の投資・投機行為をすることもできません。
また,本人が単独で行った法律行為を取消又は追認する場合には,取引等の相手方に対して,その行為を取消す又は追認する旨を通知すればよいのですが,後日,言った言わないのトラブルになることを避けるために,配達証明付の内容証明郵便で取消又は追認の通知を出すようにするものであると思っていただいて構いません。
それでは,後見人に選任された場合に,最初にやるべきことを説明します。

まず,本人の財産管理及び生活・療養看護のためには,本人の財産をきちんと把握する必要がありますので,後見人に選任されて1ヶ月以内に本人の財産を調査した上で,財産目録を作成しなければなりません。

もちろん,申立ての時点で財産調査をされて目録等を提出されておられると思いますので,基本的には,それを活用してもらえば結構です。

但し,後に説明しますが,後見監督人が選任されている場合には,後見監督人の立会いが無ければ,財産調査と作成した財産目録に効力が生じないと定められていますので,必ず後見監督人と連絡を取って,立ち会ってもらった上で行わなければならないことには注意が必要です。

又,後見監督人が選任されている場合には,後見人が被後見人である本人に対して債権や債務を持っているとき(後見人が被後見人に貸付をしている場合や,借金をしている場合です。)には,後見人と本人の間で利害が対立することになりますので,財産調査の前にその旨を後見監督人に申し出る必要があります。

特に,後見人が本人に対して債権(貸付金と思って下さい。)を有しているときに,故意に申し出なかったときは,その債権を失う(返済を受けることができなくなる。)ことになると定められていますので,注意が必要です。
更に,財産目録の提出に関しては,法律上,家庭裁判所は後見人に対して,いつでも後見事務の報告や財産目録の提出を求めることができると定められていますので,実務上は1ヶ月以内に財産目録を作成した時点で家庭裁判所にも提出することになります。

なお,後見人自身の仕事の都合や体調等,止むを得ない理由によって,1ヶ月以内に財産調査と財産目録の作成が完了できないと思われる場合には,その期間を伸長する旨の申立てをしてもらうことになります。
又,財産調査に併せて,本人の生活,教育,療養看護,財産管理のために毎年支出する金額の予定を立てなければなりません。

これに関しても,療養看護については長期間にわたる可能性もありますので,本人の財産の状況を見た上で,中長期的な展望にたって最善の療養看護ができるような計画を立てて,予定しなければなりません。

後見人に就任して,まず行わなければならない職務は,上記2点となります。
なお,後見人は,実務上,後見事務の内容については,定期的に家庭裁判所に報告をする必要がありますので,本人の収入や支出については金銭出納帳をつける等して,きちんと記録する必要がありますし,領収証等の資料も報告しやすいようにスクラップする等して保管しておく必要があると思っておいて下さい。

又,報告の際には本人の状況についての説明も必要となりますので,面会の際の会話についても記録しておくことをお勧めします。
その後は,介護に関係する契約を本人の代理人として結んだり,当初予定した支出を行い,財産を管理することが職務の中心となります。

なお,後見人には日常生活に関することと身分行為を除き,本人の全ての行為に代理権を与えられ(包括的代理権ともいいます。),又,取消権を有しますので,原則としては代理権については制限は無く,後見人が本人の代理人となって各種の契約等を締結できることになりますが,本人にとって悪い影響や大きな影響を与える可能性のある一部の行為については,法律で制限されているものがあります。
具体的には,
 
  1.本人の居住用不動産の処分
 

本人の居住用不動産の処分(売却や賃貸借契約の解除・変更等)については,例えば,本人の施設入所のために必要となるようなことはありますが,認知症の高齢者や精神障害がある方にとっては,住環境が大きく変化することで本人の体調に悪影響を与えることにもなりかねません。

 

そのため,居住用不動産の売買や賃貸借契約の解除等の処分については,その影響が大きい可能性を考慮して,家庭裁判所の許可を受けなければなりません。

 
  2.利益相反行為
 

本人と後見人が共に相続人となって遺産分割協議が必要になる場合や,本人と後見人の間で賃貸借契約を結ぶような場合等は,本人と後見人との利害が対立する可能性が高く,このような場合に後見人に本人の代理をさせることは,本人の不利益になりかねません。

 

そこで,このような利益相反行為については,後見監督人が選任されている場合には,後見監督人が本人の代理人となりますし,後見監督人が選任されていない場合には,家庭裁判所で特別代理人を選任してもらい,その特別代理人に本人の代理をしてもらうことになります。

 
  3.本人の行為を目的とする契約
 

物を買うような行為であれば,本人には代金支払義務という財産的な義務を負うだけに過ぎないのですが,例えば,アルバイトをするなどの雇用契約を結ぶような場合には,本人が働くことが契約上の義務となりますので,本人がそうしたことをしなければならなくなることを納得しているのかが重要なことになります。

 

そのため,本人が何かの行為をしなければならなくなるような契約の場合には,本人の同意が必要となります。

上記以外のことであっても,後見人の方が本人の代理人として何らかの法律行為をする際に,自分一人で判断するのは負担が重すぎて不安に思われるようなときは,家庭裁判所に申立てをして,家庭裁判所からその行為に関する処分命令をもらってその命令に従って行うことができます。

後見人は,基本的には家庭裁判所の監督の下で職務を行うものですので,何もかも一人で判断するのではなく,判断に迷われるようなときには,積極的に家庭裁判所と連絡をして,家庭裁判所の判断を求めた上で,職務を行えばよいのです。
又,後見監督人が選任されている場合には,原則として後見監督人の同意を得た上で,法律行為を行うことがほとんどですので,後見監督人と積極的に連絡を取って職務を行って下さい。

後見人の仕事と責任については,原則的には以上となります。
なお,本人の日常生活に際しての介護等の事実行為については,後見人が行うものではありませんので,その点は介護サービス業者と介護契約を結んで依頼されたり,行政の介護事業等を利用してもらうことになります。

後見人は,契約した内容の通りに,介護業務がなされているかをチェックするのが仕事となります。

もちろん,親族の方が後見人となった場合等で,その方が事実上,本人の介護の作業をされること自体が禁止されている訳ではありませんので,介護作業をしてはいけないということではありませんが,そのような事実行為をすることは後見人の本来の仕事ではないということになります。
Q.7のページへ戻ります   A.6のページへ戻ります   A.8のページに移動します
 
Copyright © 2013 大串真コ行政書士事務所 All rights reserved.
by 予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所