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  [後見]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.21(任意後見人の仕事と責任について)

私は,5年程前に同居している父に頼まれ,私を任意後見受任者とする任意後見契約を結びました。

そのときは,父から,「多分,この先もボケることはないと思うけれど,将来,念のときの備えだから頼む。」と言われ,私も簡単に了承して契約しました。

ところが,この数ヶ月,父の言動がおかしいことが多くなり,父のかかりつけの医師からも,認知症を発症している可能性が高いと言われてしまい,いよいよ,任意後見契約を実行しなければならないときが来たのかと思うようになりました。

ただ,私も契約のときは,あまり深く考えず,簡単に了解していましたので,実際にどのようなことをしなければならないのか,どのような責任を負うのかが,今一つよく分っていません。

任意後見人になった後のことを,具体的に教えてもらえませんか?
 
A.21

任意後見契約は,任意後見監督人が選任されることでスタートします。

そこで,あなたとしては,お父様の状況を確認し,明らかに保護が必要であると思われたときには,速やかに家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをして,任意後見をスタートさせることが必要です。

この点について,本人が判断能力が低下したことの判断については,法律上は鑑定までは必要ではありませんが,実務上,法定後見の申立ての際と同様に,医師の診断書を提出することになっていますので,まずは,医師の診断書を取っていただくことが必要となります。
任意後見監督人の申立ては,任意後見受任者であるあなたに限らず,本人や配偶者,四親等内の親族からも申立てができます。

なお,任意後見監督人選任の申立てについては,本人以外の方からの申立ての場合には,原則として本人の同意が必要となりますが,例えば本人の状態が「後見開始相当」の状態のように,判断能力がほとんどなくなっていて同意ができない場合には,本人の同意は不要とされています。
任意後見監督人が選任されると,任意後見がスタートするのですが,任意後見人も法定後見人と同様に善管注意義務と身上配慮義務を負うことが定められていますので,任意後見人は,本人と定期的に面談する等して,本人の健康状態や生活状況をチェックすることが必要となります。
具体的に職務内容ですが,まず,最初に任意後見監督人と打合せをしてもらい,今後の方針を話し合ってもらうことになります。

通常,任意後見監督人は,選任された時点では,任意後見契約書の内容まで把握できていないことが多いので,契約書のコピーを渡して,任意後見人に与えられている代理権を確認してもらうことが必要になると思って下さい。

任意後見人は,法定後見の場合の後見人等のように,財産目録等の作成等は法律上の義務ではありませんが,財産管理について代理権を与えられている場合には,必要な範囲内で,財産目録を作成しなければなりませんので,任意後見監督人と打ち合わせの上で,作成・提出が必要となる場合があります。
又,任意後見人を直接監督するのは任意後見監督人であり,任意後見監督人は,いつでも任意後見人に対して報告を求めることができる旨,法律で定められています。

通常は,任意後見契約書において,報告の程度については定めることになります(通常,3ヶ月に1回程度の報告が必要であると定められることが多いようです。)ので,その契約内容に従って,定期的に任意後見監督人に任意後見事務の報告をしなければならないことになります。

家庭裁判所に対する報告は任意後見監督人の職務となりますので,任意後見人はあくまで任意後見監督人に報告をすればよいものとなります。
ところで,任意後見人の権限は,あくまで任意後見契約書で代理権を与えられた内容についてのみ,本人を代理して行為を行えるというものです。

そのため,任意後見契約書において委任されていない内容については,何の権限もありません。

又,任意後見契約は,任意後見人に代理権を与えはしますが,本人の行為を制限するものではなく,法定後見の保佐人が有する同意権は与えられませんので,たとえ,任意後見人に代理権を与えた行為であっても,本人自らが単独で任意後見人の同意なく行為することも可能です。
そして,任意後見人には,法定後見の後見人に与えられる取消権も与えられません。

ですから,代理権に付随する範囲の取消権(具体的には,訪問販売等におけるクーリングオフが該当します。)や,明らかに本人の判断能力が0の状態で締結した契約を意思能力がないために無効である旨を主張することは,任意後見人でも可能ですが,法定後見の後見人のように,本人が単独でやった行為を取消すことができるという権限はありません。

これは任意後見が基本的に本人の意思をできるだけ尊重して,本人が希望する内容を代理してもらうことを委任することを,制度の目的としていることによります。

そのため,たとえば,本人がまだら認知症で判断能力が正常に戻ることがあるような場合や,法定後見における「補助」相当程度の判断能力を有しているような場合に,本人自らが行った法律行為は,原則として取消すことはできず,有効な行為となってしまいます。
もちろん,代理権を与えた内容について,通常認められる管理権はありますので,財産管理についての代理権を与えられているのであれば,通帳や印鑑,キャッシュカードの管理は任意後見人が行うことができますので,本人が自分に不利益になるような支出をしないように監督できることにはなります。

それでも,本人が勝手に高額商品の売買契約を結ぶようなことが頻繁に起こるような場合には,残念ながら,任意後見では本人の保護に欠けることになりますので,任意後見人としては,より本人の行為を制限して本人の保護が可能な法定後見の申立てをすることを検討せざるをえないことになります。

但し,現行法上,法定後見が開始された場合には,任意後見契約は終了することになりますので,どのような形での保護が本人にとって一番の利益になるかを考えた上で,法定後見の申立てはしなければなりませんので,注意が必要です。

なお,本人と任意後見人の間の利益相反行為については,任意後見監督人が本人の代理人として行動しますが,居住用不動産の処分については,本人が納得して代理権を与えていることになりますので,法定後見とは異なり,家庭裁判所の許可が必要になることはありません。
又,任意後見人だけで判断するのは荷が重いというような内容については,任意後見契約を結ぶ際に任意後見監督人の同意を必要とする特約を付けておくことで,任意後見監督人の同意を得て代理人として行動することが可能となりますので,その点は契約を結ぶ際に検討されて必要に応じて,特約を付けるほうがよいことになります。

あなたの場合には,任意後見契約を結んだ際に,そのような特約を付けていないのであれば,改めて,特約を追加することも可能ですが,公正証書を作成してやらなければなりませんので,お父様の状況によっては,できない可能性もありますので,その点をご検討であれば,ご相談下さい。

但し,任意後見監督人の同意を必要とする特約が無かったとしても,自分一人で判断するのが不安であれば,任意後見監督人に相談されることは問題ありません。
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