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  [後見]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.19(任意後見制度について)

私は,現在,75歳ですが,一人暮らしをしております。夫は他界し,子供はそれぞれ独立して,遠方で生活しております。

私は今でも足腰もシッカリしており,元気にはしておりますので,日常生活の中で,特に誰かの手を借りなければならないことはありません。

ただ,このところ,少々物忘れがひどくなってきたように思い,近い将来のことも考えて,何らかの保護を受けることを考えたほうがよいのではないかと思うようになりました。

ところで,先日,テレビを見ていましたところ,任意後見制度という制度を紹介していて,これは,元気なうちに,将来自分がボケたりしたときに助けてくれるように頼める制度らしいということは分りましたので,今の自分には一番合った方法ではないかと思ったのですが,特にメモを取っていた訳でもありませんので,詳しいことはハッキリ覚えていません。

任意後見制度というのは,どのような制度か詳しく教えてもらえませんか?
 
A.19

任意後見制度というのは,平成12年の民法改正に併せて,新たに作られた制度です。

成年後見という制度は,判断能力の衰えた方を保護する制度ですが,一方で,保護を行うに当っては,出来るだけ本人の意思を尊重するということを重視するという観点から,禁治産制度から法定後見制度に改正され,また,より本人の意思を尊重できる方法ということで,任意後見制度が新設されたのです。
この点については,法定後見制度であっても,たとえば「補助」の類型については,本人の意思ができるだけ尊重されるように配慮はされていますが,そうは言っても,法定の制度であり,保護をする人(補助人等)の権限も法律で定められています。

また,補助人等の選任も最終的には家庭裁判所によって決定されますので,必ずしも本人の希望通りになるとは限りません。

そこで,保護を依頼する人も,その方に与える権限も,本人の希望するように定めることができて,より本人の意思が尊重されるような制度として,「任意後見契約に関する法律」が定められ,任意後見制度が新設されたのです。これ以降,「任意後見契約に関する法律」のことは「任意後見法」と略します。
大まかに言うと,任意後見制度とは,判断能力が十分にある時点で,本人が信頼できる方との間で,本人の判断能力がおとろえたときに自分の希望する内容については,自分の代理人として活動してもらうという内容の任意後見契約を結んでおいて,その後,本人の判断能力がおとろえた時点で,任意後見がスタートし,任意後見人による保護が開始されるという制度であるということになります。

又,本人の意思を尊重するという観点から,任意後見契約を結んでいる方が法定後見が必要となった場合でも,原則としては,任意後見が優先されます。

但し,家庭裁判所で任意後見より法定後見の方が本人の利益になると判断された場合には,法定後見に移行されることもありますが,任意後見と法定後見が重複して適用されることはありません。
具体的には,まず,保護を依頼されたい本人が,判断能力が十分にある時点で,自分が信頼できる第三者に,自分の判断能力がおとろえたときには,自分の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を自分の代理人として行ってもらうことを依頼し,その第三者がそれを承諾する任意後見契約を締結します。
まず,任意後見契約とは,任意後見法第2条第1号にて,「委任者が,受任者に対し,精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活,療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し,その委託にかかる事務について代理権を付与する委任契約であって,第4条第1項(後見監督人の選任に関する規定です。)の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるものをいう。」と定義されています。

この定義にそって,任意後見契約について説明します。
委任者(保護を受けたいと依頼される方)に関しては,法律上の制限はなく,未成年者や既に法定後見を受けている方であっても任意後見契約を結ぶことは可能です。

但し,未成年に関しては,未成年の間は親権者や未成年後見人の保護がありますので,実際に任意後見が開始するのは,本人が成人してからのこととなります。

また,既に法定後見を受けている方に関しては,裁判所において,既に受けている法定後見を継続するほうが本人の利益になると判断される場合には,任意後見が開始されないことになりますので,必ずしも希望通りにならない可能性がありますし,そもそも,本人が任意後見契約を結ぶことについてきちんと理解ができているかどうかという点も問題になりますので,任意後見契約自体が成立しない可能性もありますので,注意が必要です。
一方,受任者(本人の保護をすることを依頼された方)に関しても,法律上の制限はありませんし,複数の方に依頼することや,社会福祉法人等の法人(団体)に依頼することも可能です。

但し,法定後見における後見人の欠格事由に当たる方が委任を受けている場合には,本人の利益が保護されない可能性が高いことになり,任意後見が開始されないことになりますので,その点には注意が必要です。
ところで,任意後見契約というのは,法律上は委任契約の一種です。

通常の委任契約であれば,書式が決まっているものではなく,口頭の約束でも成立するのですが,任意後見契約は,判断能力が十分にある時点で契約を結ぶものの,実際に契約の効力が発生するのは,「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況」つまり,判断能力がおとろえたときになります。

この「精神上の障害」は身体の障害以外の広い意味で解釈されていて,いわゆる精神疾患だけではなく,認知症等の病気によって判断能力がない(又はおとろえた)方も当てはまることになるのは,法定後見の場合と同様です。
任意後見契約はこのような特殊な委任契約ですので,イザというときに,本人の意思を確認できるものは任意後見の契約書だけという可能性も高いものです。

そこで,契約を結ぶ時点で,本人が任意後見契約を結ぶ意思があること,依頼する代理権の内容をきちんと理解していること,また,判断能力が十分にあることを確認しておかなければならないものとされ,更に契約書の存在がハッキリしていなければなりませんので,必ず,公正証書によって契約書を作成しなければならないと,法律上定められています。

公正証書の作成については,本人と受任者が公証役場に出向いて作成してもらうことになります。

その際に,公証人の手数料として11,000円,任意後見の登記に関する手数料と印紙代が合計4,000円,郵便代と公正証書の正本・謄本作成手数料として合計で約3,000円程度の費用が最低かかります。

なお,体力が落ちている等,公証役場に出向くことができない場合には,公証人に自宅や病院まで出張して作成してもらえることは,公正証書遺言と同様ですが,その場合には,公証人の手数料が5割増となり,公証人の旅費・日当が加算されることになります。

また,任意後見契約が締結された場合には,公証人の方より,東京法務局にその旨の登記申請がなされ,任意後見契約が締結された旨の登記がなされることになります。この登記によって,法定後見を申し立てる際に,法定後見に優先する任意後見契約が締結されていないかが確認できることになるのです。
任意後見契約で委任できる内容については,基本的には委任者である本人と受任者が合意すればよく,財産行為を委任する,療養看護に関する契約を結ぶことを委任する等,内容は自由ですので,「保佐」の申立てに際して代理権付与の申立てをする場合のように,包括的な代理権を与えるような契約もできますし,「補助」の申立てに際して代理権付与の申立てをする場合のように,代理権の範囲をより特定することもできます。
具体的には,任意後見契約書においては,代理権の内容として,代理権目録という形式で特定するように定められていて,目録のひな形もありますので,それを参考にして代理権を与える内容を決めてもらえば構いません。

又,契約後に,代理権を追加,削除したり,代理権の範囲を拡大,縮小したりしたいことは可能ですが,単純に追加したり削除したりするだけで行うことは出来ず,新たな任意後見契約を締結しなければなりませんので,簡単にできるものではありません。

そこで,任意後見契約を締結する際には,委任する代理権の範囲については,最初に,ある程度慎重に判断されて決定されるようにして下さい。

また,代理権の範囲の変更以外で,例えば報酬額の変更をしたいような場合にも,公正証書で変更契約書を作成しなければなりません。
ところで,任意後見契約で委任する内容は基本的には自由に定めることができますが,任意後見契約は特殊な委任契約のため,以下の内容については,必ず定めなければならないとされています。

1.精神上の障害によって判断能力が不足したときの事務の委任であること

 

任意後見制度というのは,精神上の障害により判断能力が低下した人の保護をするものですので,そのことを契約書の中でも,きちんと記しておくことが必要になります。


2.代理権を与えるということ

 

任意後見制度というのは,任意後見人に本人の法律行為を代理してもらうことが,その本質ですので,その点も契約書の中で,きちんと記しておくことが必要となります。


3.任意後見監督人が選任されたときから任意後見が始まるということ

 

任意後見制度というのは,本人の判断能力が低下してから,保護が始まりますが,任意後見人が適切に職務を行っていることを監督しなければならないのは,法定後見の場合と同じです。

但し,任意後見人は家庭裁判所が直接監督するものではなく,任意後見監督人を通じて間接的に監督するものとなり,任意後見監督人が選任されることが,任意後見開始の要件となるので,そのことも契約書の中で,きちんと記しておくことが必要となります。


なお,上記3点の内容については,任意後見契約書は公証人が作成して公正証書にしますので,間違いなく記載されます。

ですから,作成に当っては,それほど気にされなくても大丈夫ではありますが,任意後見契約というものがどういうものであり,どのようにして開始するかという重要な内容ですので,理解はしておいて下さい。
又,契約書にて委任する内容は自由と説明しましたが,あくまで,法律行為や身上行為に関するものについて自由であるということですので,例えば,受任者に介護の作業を依頼するというような事実行為については,任意後見契約ではできないことになります。

そのような事実行為を依頼するのであれば,別に,その旨の契約(法律上,準委任契約と呼ばれます。)をしてもらうことになります。

これは,法定後見において,後見人等が介護作業をしないのと同じです。
更に,受任者が実際に任意後見人となって事務をする場合には,法定後見人等と同様の善管注意義務と身上配慮義務を負いますし,任意後見人として不適切な行為等があれば解任されることも法定後見人等と同様です。

但し,任意後見の場合は,法定後見と違って,契約をした当事者の意思を尊重し,裁判所が介入することは原則としてできないというのが,法律が予定するところですので,その解任の申立てがあって初めて家庭裁判所が解任するかどうかを判断することになります。

そこで,任意後見人を解任すべき事由があるときでも,家庭裁判所が職権でその任意後見人を解任をすることはありませんので,必ず,本人や親族,任意後見監督人等からの解任の申立てが必要となります。
なお,任意後見人の報酬に関しては,任意後見契約の中で決めてもらうことになりますので,無報酬でも構いませんし,本人と受任者の合意で報酬額は自由に決めることができます。

推定相続人である親族の方が任意後見人となられる場合には,任意後見人の報酬は無報酬とする代わりに,遺言で,取得分を多くすることで,報酬の代わりにされるやり方も見られます。

法定後見の場合のように,家庭裁判所が報酬を付与するかどうかを判断するものではありません。
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