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  [後見]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.14(「補助」について)

私の叔母(父の妹)は,私の自宅の近所で一人暮らしをしています。

叔母の子供は長女と次女がいますが,2人とも結婚して遠方に住んでいますので,それこそ盆と正月くらいにしか帰って来ません。

そのため,私が最低でも2〜3週間に1回位は訪ねて行って様子を見るようにしています。

叔母は,70歳を過ぎていますが,いまだに足腰もシッカリしていて元気ですし,料理も上手で,私がおばの作った料理をもらって帰ることもある位ですので,まだ,介護サービスも受けてはいません。

ただ,時々,約束したことをスッカリ忘れてしまうようなことがありますので,多少,認知症気味ではないかと思うときもあるのですが,基本的には日常生活に支障が生じるような状態ではありません。

叔母本人は,足腰が弱くなったり,料理ができないようになってしまったときには,老人ホームに入るつもりであると言っていますが,今のところは,私が見ていても,そのようなことを準備しなければならないような状態でもないと思っています。

ところで,先日,私が叔母の家を訪ねたところ,ベッドには新品の布団があり,事情を聞いたところ,訪問販売のセールスマンから100万円で購入したと言いました。

私が,それは高すぎる,だまされたのではないかと言ったのですが,叔母は,最高級の羽毛を使っていたり,安眠できるように最新の技術を使っているので,それくらい高額になるのだと説明されたと言いますし,実際に,その布団で寝るようになってから熟睡することができるようになったので,買ってよかったと言い,だまされてはいないと言うのです。

叔母は,叔父が亡くなったときに,叔父の遺産を大部分相続したこともあって,今回の100万円の出費がすぐに叔母の生活に悪影響を及ぼすということもありませんし,何より,叔母がその布団に満足しているようなので,私個人の意見としては,今回の布団の訪問販売は,いわゆる悪徳商法の1つではないかと思うものの,敢えて契約を取消して布団を返す必要まではないかとは思っています。

ただ,確かにここ数年は,叔母はあまり人を疑わず,言われたことをそのまま信じてしまい,要らない物を買いそうになったり,他人の保証人になろうとしたようなこともあって,その度に,私が,止めるように言い聞かせて何とか大事に至らず済んだようなこともありました。

それに,それこそ日常の買物や1万円程度までの話であれば,問題はないのですが,10万円を超えるような金額の話になってしまうと,それこそ10万円も100万円も同じように思っているのではないかと心配になったこともありました。

又,訪問販売業者の間では,購入経験のある顧客のリストが回っている等という物騒な話も聞いたことがあります。

叔母は,今回,訪問販売で高額の商品を買ってしまっていますので,これからも,叔母のところに,色々な訪問販売業者が押しかけてきて高い買物をさせられてしまい,それこそ叔母の財産が食い物にされないかと不安になってしまいます。

今のところ,日常生活に大きな支障もありませんし,いつも訳の分らないことを言うという訳でもありませんので,「後見」の申立てをするほどのことはないと思いますが,金銭の管理等は私なり別の人に任せたほうが安心ではないかと思っています。

叔母のようなケースでは,どのようにすればよいのでしょうか?
 
A.14

確かに微妙なケースですね。

お話を伺うと,叔母さんの状況は「後見開始相当」の状態ほど判断能力が低下されてはいないものの,判断能力が衰えてきているのは確かだと思います。

そこで,叔母さんを保護するための方法としては,法定後見の中でも,「保佐」又は「補助」を利用するか,又は後で説明します任意後見制度を利用されて,叔母さんの財産を守る手当をするのがよいのではないかと思います。

特に,高額の金額の話に関しては,感覚がアバウトになっておられるようですので,何らかの手当をされておくほうが,安心だと考えます。
そこで,まずは,医師の診察を受けてもらい,法定後見の申立てに必要な診断書を取得されるようにして下さい。

叔母さんはご高齢でいらっしゃいますので,かかりつけの医師がおられると思います。まずは,その方に,診察をしてもらい,必要があれば,精神科を受診していただいたほうがよいと思います。
お話を伺ったところでは,基本的には,判断能力が著しく衰えておられるようには思えませんので,医師の診断においては,「補助開始相当」すなわち「自己の財産を管理・処分するためには,援助が必要である。」と診断がなされるのではないかと思います。

そこで,医師の診断書で「補助開始相当」という診断が出されたものとして,以下,説明します。
「補助」という法定後見の類型は,平成12年の民法改正において,新設された類型で,基本的には,物事の意味をきちんと理解できていて,自分の行為の結果が分っているので,「後見」や「保佐」の必要がある程には判断能力は低下していないものの,多少の判断能力の低下が見られ,契約締結の場面等において,第三者の援助があったほうが安心であるというような方を保護するというものです。

ですから,「補助」の対象となる方は,「後見」や「保佐」が必要な方に比べると,判断能力は基本的に有しておられる方になります。

そこで,本人が必要ないと思っておられるのに,周りが勝手に保護をつけるというのは,法定後見の,本人の意思をできるだけ尊重するという理念にも反しますので,「補助」の申立ては,本人の同意が無ければできません。

この点は,客観的に見ても,本人には保護が必要であることが明らかであることが多い「後見」や「保佐」の申立てとは異なるところです。

そのため,本人が「補助」を受けたいと思っておられなければ,たとえ周りが客観的にみて「補助」が必要であると思っていても,本人の意思に反して勝手に申立てすることはできません。

そこで,「補助」の申立てを検討されるに当っては,まず,叔母さんが「補助」の申立てに同意していただくことが必要となります。
申立ての方法については,申立書の内容が変わるだけで,取り寄せすべき書面や作成すべき資料は,「後見」や「保佐」の申立てと同じですので,A.4の内容をご参考になさって下さい。

但し,「補助」の場合には,各々のケースによって必要な保護の程度が異なりますので,「補助」開始の決定がなされただけでは,補助人には何の権限も与えられません。

それでは,「補助」の意味が無いことになりますので,「補助」の申立ての際には,補助人にどのような権限を与えるべきかということを,申立てをする時点で特定することが必要となり,「補助」の申立てに併せて同意権付与か代理権付与の申立てのいずれか一方又は両方を同時に申し立てないといけないことになります。

「後見」のように後見人には包括的な代理権が,「保佐」のように保佐人には重要な行為に関する同意権が,申立てに併せて自動的に与えられるものではないことには注意が必要です。

この点でも,本人の意思をより尊重することになります。
「補助」は,「後見」や「保佐」に比べて,保護の必要性はより軽い方が対象となりますので,少なくとも同意権については,「保佐」の場合に与えられる同意権(すなわち民法第13条第1項に定められている行為。A.12を参考になさって下さい。)の一部でなければなりません。

そして,同意権が付与された行為については補助人には取消権も併せて与えられますので,同意権が付与された行為については,被補助人である本人が,補助人の同意を得ずに単独で行った場合には,取消しができる行為となります。

又,代理権についても,代理権を与えるべき法律行為を特定しなければなりませんので,「後見」の場合と同様な包括的な代理権付与の申立ては認められません。

つまり,そのような包括的な代理権や同意権が必要である場合には,「後見」や「保佐」を検討してもらうことになるということです。

逆に,「介護契約の締結」とか「預金取引全般」というような大まかな特定ではなく,「介護業者□□との介護契約の締結」とか「○○銀行△△支店の本人名義の預金取引」等のように,より限定した形での同意権なり代理権の付与の申請も可能です。

なお,取消や追認の方法は,「後見」の場合と同様です(A.7を参考になさって下さい。)。
なお,「補助」における代理権については,あくまで,補助人にその権利(代理権)が与えられたというだけで,本人がその行為をすることに制限はありませんので,代理権が付与されたとしても,同意権が付与された場合とは異なり,補助人に取消権は与えられないことには注意が必要です。

但し,補助人に代理権が与えられた行為に取消権が与えられないのであれば,ご質問のケースのように,例えば預金等の管理が必要であるとして,「○○銀行△△支店の本人名義の預金に関する取引」に代理権を与えるような場合でも,本人も自由に預金を引出し等できることになって意味がないことになりかねませんので,補助人にそのような代理権が与えられた場合には,それに付随する権限として通帳やキャッシュカードの管理をする権限は,併せて与えられるものと考えられています。

実際の管理等の方法については,家庭裁判所の担当書記官に確認を取って行って下さい。
更に,「補助」についても,「保佐」と同様に,被補助者本人が補助人の同意を得なければならない行為をする場合であって,本人の利益を害するおそれがないにもかかわらず,補助人が同意しないときは,本人の申立てによって,家庭裁判所が補助人の同意に代わる許可をすることができることになっていますので,その許可を得た場合には,補助人の同意を得た場合と同様に扱われることになります。

最後に,当然のことですが,「補助」は,「後見」や「保佐」より軽い保護類型ですので,日常生活に関する行為と身分行為については,補助人には同意権も代理権も与えられませんので,本人が単独でできること,補助人が取消できないものであることは「後見」と同じですし,そのような行為は慎重になされるべきものであることももちろんです。
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