安心できるシニアライフのために!相続・遺言,後見のことなら,お気軽にご相談下さい!
大阪の予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所です

トップページ 取扱業務内容 基本料金一覧表 事務所ご案内 お問い合わせ
 

  [遺言]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.8(遺言作成後の対応や遺言の変更について)

私は,妻と息子2人の4人家族です。息子2人は既に独立して家庭を持ち,各々遠方にて生活していますので,現在,私は妻と2人で暮らしております。

私は,今年70歳になりましたが,10年前,60歳の時に,一度,自筆証書遺言の方法で遺言書を作成しました。

その時の内容は,大まかには自宅不動産を長男に,定期預金や株式は次男に渡すというものでした。

そして,付言事項として,長男には残った妻の面倒を見てほしいことを書いていました。

私は遺言をしましたので,遺言の内容が実現できなくなってはならず,遺言書に記載した財産は残しておかなければいけないと思いましたので,これまで,自宅不動産はもちろんですが,定期預金や株式も解約や売却等せず,そのままにしてきました。

ところが,私達夫婦はここ数年,病気で入退院を繰り返したりして,体力にも自信がなくなってきました。

そこで,このまま自宅で2人だけで生活するよりは,元気なうちに老人ホーム等の施設に入って生活をするほうが安心ではないかと思うようになりました。

老人ホーム等の施設に入るには,それなりにまとまった金額が必要となりますので,自宅不動産を売却し,不足分は定期預金を解約する等して,資金を捻出したいと考えていますが,そうすると,10年前の遺言の内容が,イザというときには実現できないことになってしまいます。

一度,遺言をしていますが,遺言の内容が実現できないようなことになるような財産の処分をしてもよいのでしょうか?

又,一度作成した遺言は破棄したり,変更したりすることはできると説明されておられますが,実際にはどのようにすればよいのでしょうか?
 
A.8

ご質問のように誤解されておられる方は多いのではないかと思いますし,そのように誤解されることで,遺言を作成することについて敷居が高いと感じられたり,それこそ遺言というものは死ぬ間際にすべきものであると思っておられる方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

ただ,決して遺言をするに当たって,そのような制限はありません。
まず,最初にご理解しておいていただきたいのは,遺言は一度きりしかできないものではなく,法律が定める様式に従えば,何時でも,何度でも取消する(法律上は,「撤回する」といいます。)ことが可能であるということです。

つまり,一度作成した遺言でも,後日気持ちが変わったときは,前の遺言を取り消して新しい遺言を作成することが可能だということです。

又,遺言作成後に,遺言に記載された財産を処分されたときは,イザというときにその内容は実現できませんので,民法では,その遺言の内容を取消(撤回)したものとすると定めています。
ですから,ご質問のように,自宅不動産を長男様に,定期預金,株式を次男様に相続させる旨の遺言をされているからといって,イザというときに,その遺言の内容が実現できるように財産を残しておかなければならないということはありません。

遺言作成後に財産を処分されたときは,その部分については遺言のその部分を取消(撤回)したものとして扱うことになるだけのことです。
遺言というのは,遺言をした方の最終意思(最後の思い,考え)に法的効力を与えるという制度ではありますが,遺言書作成とその方の死亡との間には,通常,それなりの時間が経っていますので,あくまで,遺言をされた時点で,自分の財産をどのように分けて欲しいかという思いを表した文書と思っていただければ構いませんし,日が経つことでその思いが変わられる可能性は当然ありますので,取消や変更は自由にできるということなのです。
この点で,民法では,遺言をした方が遺言を取消(撤回)する権利を放棄することも認めていません。

 ですから,例えば,相続人の誰かが遺言者に強迫するなどして遺言を取消さないように強制することはできませんし,それこそ,そのような行為をすれば,相続欠格([相続]の基礎知識のQ.26をご参考になさって下さい。)の対象となってしまいかねません。
又,そもそも遺言というのは,遺言者が亡くなって初めて効力が発生するものですので,遺言をされた方がご健在の間は,遺言に財産を受け取ることができると記載されている方であっても,遺言があるからといって,何らかの権利を主張できるものではないのです。

もちろん,裁判を起こしたところで,そのような主張は認められません。

ですから,遺言した方は生存中であれば,前の遺言を取消したり,変更することは,内容の取消・変更を遺言書の訂正という方法で行う場合に,法律に定めた方法でしなければならないという形式上の制限があることを除けば,内容的には何の制限もないということになります。

つまり,取消,変更前の遺言の内容は,単にその方の最終意思ではなかったということになるだけの話です。
ご質問のケースでは,例えば,遺言後全財産を処分して老人ホームの入居費用やその後の生活費用をまかなわれるとすれば,遺言の内容全てが実現不能となり,その遺言は取消(撤回)されたものとして扱われることにはなります。

又,自宅不動産だけを売却されるとすれば,実際にあなたがお亡くなりになって遺言が効力を発生する時点で,その内容は実現不能ですので,その分の内容については,遺言を取消(撤回)されたことになりますが,それ以外の財産が残っていて,遺言の内容が一部でも実現できれば,その部分については遺言は有効です。
なお,今の例で注意すべきは,自宅不動産だけが無くなって,長男様だけが何ら相続できなくなったときには,長男様から次男様に遺留分の請求([相続]の基礎知識のQ.16の内容をご参考になさって下さい。)がなされる可能性が残ることなのですが,そのことと遺言の有効無効とは直接には何ら関係はありません。
更に,遺言した方が自分のした自筆証書での遺言書を破棄したときも,その遺言を取消(撤回)しものとして扱われますので,一度作成した遺言をないものにしたければ,単にその遺言書自体を破り捨てることも何ら問題ありません。

破棄とは簡単に言えば破り捨てることです。

それ以外に,遺言書の文書部分を塗り潰して読めなくしたり,その部分を切り取ったりすることも破棄に当たります。

もちろん,当然のことながら,遺言書を破棄してよいのは,遺言した方ご本人に限ります。

推定相続人の方が破棄された場合,その方は相続欠格の対象となり,相続できないことになりますので注意が必要です。

又,破り捨てることで完全に取消(撤回)できるのは,自筆証書遺言に限ると思って下さい。

公正証書遺言については原本が公証役場に残っていますので,新たに以前の遺言を取消(撤回)する内容の遺言を作成しなければ取消(撤回)したことになりませんし,秘密証書遺言についても遺言をしたという事実が公証役場で明らかになっていますので,単に破り捨てただけでは,トラブルの元となりかねませんので注意が必要です。
Q.8のページへ戻ります   A.7のページへ戻ります   A.9のページに移動します
 
 
Copyright © 2013 大串真コ行政書士事務所 All rights reserved.
by 予防法務の専門家 大串真コ行政書士事務所