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  [遺言]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.6(自筆証書遺言の作成方法について)

私は,まだ40代で健康でもありますので,とりあえずは簡単に作れる自筆証書遺言を作成してみようと思うのですが,用紙や筆記具はどのようなものがよいのか,封印すべきなのか,書くべき内容についてはどの程度のことを記載すればよいのか等,詳細が全く分りません。詳しい作成方法を教えて下さい。
 
A.6

自筆証書遺言については,民法では,訂正方法を除けば,
「遺言者が,遺言書の本文,日付及び氏名を自書し,これに押印すること。」
としか定めていません。
つまり,
 1.遺言書の内容全てを自分の手で書き,

(財産の目録等も全て自分で書く必要があります。本文をパソコンで作って署名捺印だけした遺言書やパソコンで作った表を添付した遺言書,第三者に代書させて作成したような遺言書等は,原則として全て無効となります。)

 
 2.日付は西暦,年号のいずれかで,年月日を特定さえすればよく,

(例えば,「2013年1月吉日」のような表記では日時の特定ができないため無効となります。「2013年1月末日」とか「平成25年の憲法記念日」等という表記であれば,その日を特定することが可能ですので有効とは言えますが,「2013年1月31日」のように,きちんと日付を特定するほうがより確実であることは間違いありません。)

 
 3.その上で,自分の名前を署名し,

(戸籍上の氏名でなければならない訳ではありません。私個人の意見としては決してお勧めしませんが,通称や芸名,ペンネーム等でも,一般に周知されていて,遺言者が特定できる名前であれば構わないと解されています。)

 
 4.押印すれば,

(印鑑の種類は問いません。実印だけでなく,認印でも構いません。判例では,拇印でも有効とされた事例もありますが,やはり,何らかの印鑑,出来れば実印を使用されることをお勧めします。)

 
遺言としては有効な遺言が完成します。

なお,自筆証書遺言の訂正方法につきましては,項を改めて説明します。
それ以外に,用紙や筆記具,印鑑の種類等に民法上の指定や制限はありません。

ですから,用紙は何を使っても構いませんが,例えば,印刷された文字があるようなもの(広告チラシの裏や裏紙等)だと,その印刷された文字が遺言の内容に影響するようなことになる可能性があることや全て自書しなければならないという要件に当てはまらないようになる可能性があることは否定できません。

又,チラシの裏やメモ用紙,ノートを適当に破ったもの等に書かれた遺言書では,それこそ適当に書いたと思われて本当に遺言する意思があったのかということを後で疑われかねず,争いを引き起こす可能性があることも否定できませんので,最低限,便箋やレポート用紙、原稿用紙等を使用されたほうがよいと思います。

細かい話ですが,便箋やレポート用紙,原稿用紙等には,罫線やメーカー名,商品の型番等が印刷されていますが,これについては,その印刷があることをもって,争いになることはまずありませんので,遺言が無効となる心配はないと思ってもらって構いません。

もちろん、完全に無地のコピー用紙でも構いません。
筆記具についても,同じですので,どのような筆記具を使用して書いてもらっても構いません。

ですから,例えば鉛筆で書かれてもよく,鉛筆で書かれたことだけを理由にその遺言書が無効になることはありませんが,鉛筆で書かれた遺言書は,消しゴムで消して簡単に書き直せるので,改ざんされる可能性が高いことは否定できません。

その他,例えば,クレヨンやマーカー等を使われてもよいのですが,一般的に大事な文書作成の際にそのような筆記具を使用することは少ないと思われますので,本当に遺言をする意思があったのかを後で疑われかねないことは否定できません。

ですから通常は,ボールペン,サインペン,万年筆や筆ペン等を使われるのが適当かと思います。

もっとも,怪我等で寝たきりのため,仰向けの状態で字を書かなければならない等の状況で作成されるのであれば,弱い筆圧であってもハッキリとした字が書きやすいクレヨンやマーカー等を使われた方がよい場合もあることが考えられないわけではないとは思いますが,そのような場合でも決してお勧めはしません。
更に,印鑑も実印である必要はなく,認印でも構いませんし,裁判上は拇印でも有効であると判断はされています。

但し,遺言は自分の死後に財産等をどう処理すればよいかを記した大切な文書ですので,誰でもが文房具屋等で簡単に買えるような認印や,拇印ではなく,できれば実印で押印されることをお勧めします。

どうしても実印が使えない場合であっても,銀行印又は通常様々な届出等の際に使用されている印鑑を使用される方が,より確実だとは思います。

実際に,複数の遺言書が見つかり,遺言書の有効無効が争いになったケースで,認印で押印された遺言書について,故人は生前,重要な文書には実印で押印することが常であったことから,遺言書のような大切な文書に認印を押印する筈が無いとして争われたようなケースもあるのです。
なお,押印が無い遺言書は無効となりますが,遺言書が複数枚になる場合に,用紙を綴じて契印(一般的には割印ともいいます。)をするかについては,契印はあるほうが望ましいとは言えますが,契印が無いことでその遺言書は無効になることはありません。

又,上に記載した通り,遺言書が複数枚になる場合には,綴じた上で契印を押印された方がよいのは確かですが,これについても,綴じてなければ無効になるわけではありません。

ただ,遺言書の途中に別の内容を記載された用紙を挟まれたり,途中の用紙を破棄されてしまったりして,遺言書を簡単に改ざんされることを防ぐためには,複数枚の遺言書は綴じて契印を押印されることをお勧めします。

どうしても契印を押印できないような状態である場合でも,最低限頁数だけは書いておかれた方がよいと思います。
作成した遺言書を封筒に入れて封印するかどうかについては,民法上は,自筆証書遺言が有効に成立するための要件として,遺言書を封印することを要求していませんので,封筒に入れて封印していなければ,遺言が無効になるわけではなく,封印していない遺言書であっても,自筆証書遺言の形式に反していなければ,遺言としては有効です。

なお,封印された自筆証書遺言は,家庭裁判所における検認手続(相続人等の前で,遺言書の開封確認作業をする手続だと思って下さい。)の際でなければ勝手には開封できず,これに反した人は5万円以下の過料が課されることがあることには注意が必要です。

そこで,遺言書の封印については,大切な文書であるからきちんと家庭裁判所の検認手続において内容を明らかにされたいということを示す意味と家庭裁判所の検認手続以外で勝手に開封できないと法律で定めていることから遺言書の内容の改ざんの可能性を低くするという意味で封印するものだと思っていただいて構わないかと思います。

なお,封印されていない場合でも,自筆証書遺言は検認手続をしないとその後の遺産分割の手続ができませんが,封印されていなければ,検認手続前であっても,内容は事前に自由に確認することが可能ですので,遺言の内容に不満のある推定相続人の方が改ざんする,破棄する等の可能性は高くなりますので,できれば封印される方がより安全であることは確かです。
遺言書に書かれる内容については,A.3に記載した14の項目については,法的に効力を有することになりますが,それ以外に,法的効力は無いものの,自分の思いや,家族に望むこと等(付言事項といいます。)を書かれても,構いません。

このような付言事項は遺言の内容を明らかにするための参考にもなることですし,例えば,相続人間で取得分に差を付けているような遺言書の場合に,どういう理由でそのような分け方にしたのかを相続人に伝えることで,要らない争いを回避しうる可能性が高くなりますので,有益なものと考えます。
又,財産の表示については,原則として,その財産が特定できる程度の記載は必要だと思って下さい。

そのため,
 

不動産であれば,登記されている内容を,
(できれば,法務局で登記事項証明書を取寄せた上で,その内容の通りに記載されることをお勧めします。)

 

預貯金や投資信託であれば,銀行や証券会社名,支店名,口座の種類,口座番号,名義人を,

 

株券やゴルフ会員権証書等の有価証券関係であれば,証券の内容,会社名や債務者名等,数量や金額等を,

 

債権であれば,債務者名(請求をする相手方のことです。),債権の内容(売掛金なのか貸金なのか等を特定することになります。),金額等を

 
記載して特定してもらうことが必要になると思って下さい。

 又,マイナスの財産(債務)がある場合には,

債権者名(支払うべき相手方のことです。),債務の内容(買掛金なのか借入金なのか等を特定することになります。),金額等を

 
記載して特定してもらうことが必要となると思って下さい。
もちろん、自分の財産全部を誰か一人に渡すような内容であったり,財産が預貯金だけの場合等で,全て解約,換金して分けて欲しいと希望されるような場合には,各々の相続人等に分割の割合だけを指定するような内容の遺言も作成することは可能ですので,遺言書に財産の特定が無いからといって,直ちに遺言が無効になることはありません。

とは言っても,遺言書中に財産の特定がなされていない遺言書を作成される場合であれば,別に,財産が分るような財産目録のような資料を用意されたほうが親切であろうと考えます。

なお,自筆証書遺言の場合,財産目録を表の形式にしてつけておく場合であれば,その表も手書きで作成しなければならないことは,もちろんです。
又,遺言の本文で,相続人等各自の財産取得分の特定(誰にどの財産を残すかという内容です。)がなされず,分割の割合だけが書かれている遺言書は,最終的には,相続人と受遺者の間で遺産分割協議をする必要があり,場合によっては,どの財産を取得するか等の内容についての争いが生じる可能性が高くなるのではないかと思われます。

そこで,このような遺言も,遺言として有効ではありますが,私としましては,基本的には各自の取得する財産を特定された遺言書を作成されることをお勧めします。

なお,遺言にて相続分等を指定する財産については,自分の財産全てを記載しなければならないということではありませんので,一部の財産についてのみの遺言を作成することももちろん可能です。

例えば,先祖代々の自宅不動産だけは長男に単独で引き継いでもらいたいが,後の預貯金等は相続人である家族で話し合って分けてもらえばよいというような場合に,自宅不動産に限って遺言書を作成して長男が相続するように指定するようなことができるのです。

遺言書に記載のない財産については,相続人等の間で遺産分割協議をして,その合意にしたがって相続するということになるだけのことです。
ところで,不動産の場合に注意が必要なことは,通常住所として表記している住居表示(「○○町1丁目2番3号」等の表記)と登記上の地番は基本的に異なることです。

実務上は,不動産の表示を住居表示で記載した遺言書でも,不動産の特定に問題がなければ,法務局では受け付けてくれることも多いようですが,登記事項証明書を取寄せられて、その記載の通りに書かれておくほうが無難です。
更に,その遺言の内容を実行してもらう方として,遺言執行者も指定していただくほうがよいかと思います。

これは,通常は,相続人のうちの誰かでも構いませんし,例えば私達のような専門家を指定されても構いません。

遺言執行者の指定がされていれば,その遺言執行者が単独で財産の解約等をすることができますので,多少,遺言内容の実現が迅速にできますし,士業者等の第三者であれば安心して遺言書の保管を依頼できるというメリットもあります。

又,遺言執行者でなければ実現できない内容(子の認知と相続廃除です。)が定められている遺言の場合,遺言執行者が指定されていなければ,相続人等で家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをしなければなりません。

それ以外にも相続人以外の受遺者への遺贈の内容を定めている遺言の場合,遺言執行者が指定されていなければ,受遺者と相続人全員が一緒に手続を取らなければならず,相続人と受遺者との間でトラブルの元になりかねません。

このような遺言を作成される場合には,遺言執行者を指定していただくほうが親切であると思います。
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