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  [遺言]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.16(跡継ぎを何代もに渡り指定するような遺言ができるかについて)

私は家族経営で小さいながらも従業員20名弱を擁する株式会社を経営しており,私は自社株の8割を所有する筆頭株主です。

自分が亡くなった後は一緒に会社経営を手伝ってくれている長男に自分の株式は譲って会社の経営を続けていって欲しいと考えていますので,その旨の遺言を作成しようと思っています。

ところで,将来的に長男が引退するのであれば,長男に譲った株式は,やはり会社経営を手伝ってくれている次男に譲ってもらい,次男に経営を続けていって欲しいと考えております。

そこで,遺言をするに当たっては,「会社の株式は全て長男に引継がせるが,将来長男が死亡又は引退したときには,次男に全て引き継ぐものとする。」というような遺言をしたいと考えておりますが,このような遺言をすることは可能でしょうか?
 
A.16

ご質問のような内容の遺贈のことを,俗に「跡継ぎ遺贈」と言い,これは,その有効性については非常に争いがある問題になるケースです。

法律上は,そのような内容を直接定めた規定はありませんし,学者の間では,有効であるという説と無効であるという説が対立しており,そのどちらにも納得できる部分があります。

又,裁判においても,最高裁判所はハッキリと有効であるとは言っていないものの,事例によっては有効であると解釈できるという微妙な判決が出されている状態で,正面から有効であると判例で認められてもいません。

そこで,正直なところ,絶対無効であると断言はできないものの,無効と判断される可能性が高いというのが,実際のところなのです。
無効であるという説は,本来,相続なり遺贈なりを受けて財産を取得した人は,取得後は,その財産を自分が自由に処分できるのが当たり前である(民法では,「所有者は,法令の制限内において,自由にその所有物の使用,収益及び処分をする権利を有する。」と定められています。)のに,「跡継ぎ遺贈」を認めてしまうと,その方は自分の受け取った財産を自由に処分できなくなってしまい,法律の規定にも反することになるので,長男が死亡又は引退した後の2番目以降の遺贈は,遺贈をする方の希望やお願いを述べたものに過ぎず,法律が効力を認めたものではないと主張されます。

一方,有効であるという説からは,「跡継ぎ遺贈」というのは,「長男が死亡,又は引退する」ことを期限なり条件として制限を付けた遺贈であり,そのような制限付の遺贈は法律上も可能であるから有効であると主張されています。

どちらの言い分も一理あるのは確かです。

現在は,有効であるという説の方が有力にはなってきていますが,まだ,無効であると判断される可能性のほうが高いというのが現在の実務上の流れです。
ただ,実際に会社等を経営されている方からすれば,会社を永続させて欲しいと思われることから,ご質問のような遺言をなさりたいと考えられることは無理もありません。

それ以外にも,後妻である現在の妻との間に子供がなく,先妻との間には子供がいる方のような場合には,まずは現在の妻の生活の安定を望むものの,妻の死亡後は,血の繋がった先妻の子供に相続させたいと思われる場合や,子供がおられないご夫婦の場合で,先祖代々の土地は,妻の死亡後は妻の家族等ではなく,自分の血の繋がりのある兄弟に受け継いで欲しいと思われる場合もあるかと思います。

但し,現在の制度上では,跡継ぎ遺贈は無効であるとして,最初の遺贈の部分だけが有効であるとされる可能性が高いのは申し上げたとおりですので,跡継ぎ遺贈の内容を定める遺言の作成は決してお勧めできません。
そこで,代わりの方法として考えられるのは,まず最初に引き継いでもらうべきご長男にも,一緒に遺言をしてもらって,「自分が亡くなったときは,株式は次男に引き継ぐ」というような遺言をしてもらうという方法が考えられます。

もちろん,ご長男がそのような遺言の作成を承諾されない可能性や,承諾されて遺言を作成されたとしても,後日,その遺言を取消される可能性は否定できませんので,絶対に確実な方法であるとまでは言えませんが,ひとつの方法ではあると思います。
又,A.15でも少し説明しました信託の方法を利用することも考えられます。信託法の91条で,「跡継ぎ遺贈型受益者連続信託」という方法が定められており,この方法を利用することで,期間は30年という限度はありますが,自分の財産を何代か後まで自分の指定するように受け取らせることが可能となります。

これは,A.15で説明したペットに対する資産の信託とは異なり,制度として認められていますので,検討の余地は高いものと思います。

但し,このような信託制度を利用した場合,相続税の課税に関する問題があることと,遺留分減殺請求がなされる可能性があることには注意が必要ですので,このような「跡継ぎ遺贈」の形式による遺言を検討されているのであれば,まずは,専門家にご相談されることをお勧めします。
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