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  [遺言]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.15(ペットに財産を渡すという遺言ができるかどうかについて)

私は,夫に先立たれ,現在は一人暮らしです。

息子が1人おりますが,結婚して遠方に住んでおり,年1,2回たずねてくる程度ですので,今は,犬と一緒に生活をしております。

自分にとって,飼い犬は家族同然の存在ですが,私が亡くなった後のことを考えると,マンション住まいの息子夫婦に犬の世話をしてもらえるものではなく,誰も世話をしてくれる人がいないことになってしまい,保険所に引き取られ殺処分されてしまうかと思うと,不憫でなりません。

今,私は,自分の死後は,財産の半分程度をペットに譲って,犬の世話については,その財産を使ってもらってよいので,誰かに世話を頼みたいと考えていますが,このような遺言をすることは可能でしょうか?
 
A.15

結論から申し上げますと,残念ながら,そのような遺言はできません。

現在の法律では,ペットを含めて動物は「物」として扱われます。

ですから,例えば,自分の愛犬を殺された場合,愛犬を殺した人は器物損壊罪(物を壊した罪)に問われるに過ぎないことになっているのです。

又,法律上は,「物」は相続することはできませんし,財産を持つことも認められていませんので,ペットに財産の半分を遺贈するという遺言をされても,遺言のその部分は無効となってしまいます。
では,残されたペットに財産を残してやる方法が無いかというと,間接的ではありますが,3つの方法が考えられます。

1つ目は,A.3でも説明した,財産を信託することです。
 
2つ目は,A.14でも説明した負担付遺贈をすることです。
 
そして,3つ目はA.12でも多少説明した負担付の死因贈与契約を結ぶことです。
1つ目の財産の信託は,実際のやり方としては,財産を信託銀行なりに信託財産として預け,ペットの世話をしてくれる人を誰か別の第三者に依頼するという方法になるかと思いますが,実際には,負担(この場合,ペットの世話をすることです。)が確実に実行されているかの確認を信託銀行なりがしてくれるものではなく,日本ではそのような業務がほとんど行われていません。

財産の管理という面では一番確実な方法ではないかとは思われますが,現状では理論上は可能である程度の扱いでしかありませんし,このような信託は手続が面倒でもありますので,例えば何億円もの財産がある等極めて特殊な場合でしか引き受けてはもらえないと思われ,現実的ではありません。
そこで,2つ目の負担付遺贈による方法か3つ目の負担付死因贈与契約を結ぶ方法が現実的なものとして考えられます。

つまり,2つ目の負担付遺贈であれば,財産を遺贈する代わりに,その負担としてペットの世話をしてもらうことを定めるか,ペットと財産を遺贈して,その負担としてペットの世話をすることを定めるという方法です。

例えば「私の財産のうち,現金1000万円を○○さんに遺贈します。その負担として,私の愛犬△△を終生世話をすることを定めます。」とか「私の財産のうち,現金1000万円と愛犬△△を○○さんに遺贈します。○○さんには,△△の世話をしてもらうことをその負担として定めます。」等の文言を遺言に記載するのです。

但し,これも,遺贈を受ける方がきちんとペットの世話をしてくれるだけの信頼できる人で,ペットの世話を承諾してくれている方を選ぶことや負担となるペットの世話の内容を細かく決めておくことが必要となります。

特に,ペットの世話の内容については,食事や散歩の内容や回数,病気の際の扱い,死後の扱い,その方にペットがどうしてもなつかない場合や,世話ができなくなった場合の取扱等を細かく決めておかないと,遺贈を受けた方がちゃんと世話をしてくれているかどうかがハッキリしませんし,それこそ,財産だけを取られてしまうようなことにもなりかねません。

この点で,遺贈を受けた方がきちんとペットの世話をしてくれていなければ,遺贈を取消すことができるように遺言執行者を別の第三者に指定しておくことも必要となるかと思います。

ペットの世話の内容については,その詳しい内容を別に「覚書」等の書面を作って明らかにしておくか,遺言書の中に事細かく記載することも必要となるでしょう。
又,ご質問の内容からは,遺贈を受ける方はご家族以外の第三者になられると思われますので,相続人である息子さんが異議を申し出ないように事前に話をしておき,今回の遺贈について納得しておいていただかなければ,イザというときにトラブルの元となりますので,その点の配慮も必要となります。

更に,遺贈に関しては受遺者は放棄することができますので,放棄されてしまえば,あなたの思いはかなわないことになってしまいます。

そこで,放棄されないように,事前に相手の方とよく話をされて,きちんと世話をすることを約束していただいておくようにすべきであることには注意が必要です。
3つ目の負担付死因贈与契約については,贈与する方(「贈与者」といいます。)が自分が死んだら「ペットの世話をするという負担付で,ペットと財産1000万円を贈与する。」とか「ペットの世話をするという負担付で,財産1000万円を贈与する。」と相手の方(「受贈者」といいます。)に申し込み,受贈者が承諾すれば成立する契約です。

これは遺贈のように,遺言する方が単独でできるものではなく,当事者間の申込みと承諾によって成立する契約ですので,勝手に取消(契約解除)することが制限されます。

そのため,贈与者は,遺言のように何時でも取消変更が自由にできるものではありませんし,受贈者も遺贈のように自由に放棄することはできませんので,遺贈と比べれば,より実現できる可能性は高いものと思われます。

又,契約成立までには,当事者間で相当詰めた内容まで話をすることになるでしょうから,その点でも,遺贈よりは実現できる可能性は高いと言ってよいかと思います。

但し,A.12でも多少説明しましたが,民法では書面によらない贈与契約は当事者双方が何時でも取消(撤回)することが可能であると定められていますので,契約としてより意味のある確実なものとするためには,必ず負担付死因贈与契約書等の書面の作成が必要となることには注意が必要です。
又,負担付死因贈与契約における負担は,受贈者が生存中に負担すべき義務を負うものでも可能ですので,例えば,贈与者の体力が落ちてきて,自分でペットの世話をするのが困難になったような場合に,生前よりペットの世話を依頼し,イザ自分が亡くなったときには,財産を贈与するという形を取ることもできます。

この場合に,受贈者としては,贈与者が亡くなった時点で確実にその方の財産を受け取ることができなければ,負担だけを負わされることになるのではないかという問題があります。

但し,これに関しては,受贈者が負担の全部又は一部を履行(実行していることと思ってもらって構いません。)している場合には,原則として贈与者がその死因贈与を取消すことができないとの最高裁判所の判決が出されていますので,受贈者が現実に負担を負ったにもかかわらず,その後の遺言等で取消されて何も受け取れなくするようなことは原則としてできないと思っていただいて構いません。
では,負担付遺贈と負担付死因贈与契約のどちらを選べばよいかという点ですが,これはケースバイケースであると言わざるを得ません。

確かに,死因贈与契約の方が,より実現できる可能性は高いとは言えますが,一旦契約をしてしまうと,遺贈のように,自由に取消変更ができるわけではなくなりますので,当事者間の関係や世話をお願いをしようという気持ちがどの程度強いものであるか等によって,どちらの方がよいかは異なってきます。

以上のように,間接的ではありますが,実質的にペットのために財産を残すことは可能です。

但し,そのためには,相当の準備が必要となり,単に遺言で負担付遺贈をするか,負担付死因贈与契約を結べば,それで充分というものではありませんので,これも一度,専門家にご相談されたうえで準備されることをお勧めします。
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