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  [遺言]の基礎知識

解説 解説編
 

Q.14(遺産を受け取るに当たり,条件等を定めることができるかについて)

私は,現在,持ち家である自宅で妻と二人で暮らしています。子供は息子が2人と娘が1人おりますが,全員結婚して別々に暮らしております。

この度,遺言を作成しようと思って準備し始めたのですが,遺言の内容としては,長男に多少多めに財産を渡す代わりに,妻が生存中は生活の面倒をみてくれることを条件にしたいと考えています。

遺言をするに当たって,「長男が,母の生存中は生活の面倒をみてくれることを条件に,この財産を渡す。」というように,財産をもらうための条件のようなものを付けることは可能でしょうか?
 
A.14

結論から申し上げますと,ご質問のような遺言をすることは可能です。

ここで,内容の説明の前に,多少専門的にはなりますが,A.13の最後でも申し上げました,負担,条件,期限について説明をしておきます。
まず,負担とは,法律上は,ご質問のような内容,つまり,財産を渡す代わりにその方に一定の義務を負わせることを要件として決めることです。

例えば「長男には1000万円の定期預金を渡すが,その代わりに母に毎月5万円を渡すこと」とか「長男に自宅不動産を与えるが,その代わりに母の生活の面倒をみること」とかいう内容(義務)を負わせることをいいます。

ですから,一般的には,ご質問のように上のような内容を「条件」にすると表現することが多いかと思いますが,法律上は「条件」ではなく「負担」すると表現するものであると思って下さい。
次に,条件とは,将来起こるかどうかが分らない事実が起こったことを要件として決めることです。

例えば,「長男が将来結婚したときは,自宅を渡す」とか「自宅は長男に渡すが,長男が将来離婚したときは,自宅は次男に渡す」,「次男が大学に合格したら,1000万円を渡す。」等と決めることです。

つまり,「結婚する」,「離婚する」,「大学に合格する」ということは,将来起こるかどうかは今の時点では分りませんし,確実に起こることではありませんので,このような将来起こるかどうかが確実ではないことを,法律上は「条件」といいます。
最後に,期限とは,将来必ず起こることを要件として決めることです。

例えば,「私が死亡後1年後に,長男に1000万円を渡す」,「平成24年12月1日になったら,長男に自宅不動産を渡す」等と決めることです。

つまり,「人が死亡した後1年が経つこと」,「平成24年12月1日が来ること」は確実に起こることですので,このように将来確実に起こることを法律上は「期限」といいます。
なお,条件と期限については,厳密に分けられずどちらとも取れる場合もあります。

例えば,「長男が50歳になったとき」というのは,通常であれば,確実にその日が来るので「期限」と考えることもできますが,一方で,もし長男がそれまでに死亡するかもしれないと考えると確実に50歳を迎えるとは言えないので「条件」と考えることも可能であると言えるのです。

遺言を作成するにあたって,通常はそれほど厳密に考えてもらう必要はありませんが,法律ではこのように決められているのだと理解していただければ結構です。

そして,法律上は,遺贈に関しては,このような負担,条件,期限等の制限を付けた遺贈をすることが認められており,各々「負担付遺贈」,「条件付遺贈」,「期限付遺贈」といい,これらをまとめて「附款(ふかん)付遺贈」といいます。
ご質問のような内容は,負担付遺贈として,遺言に記載することが可能ですので,「この遺贈を受けるに当たっては,その負担として,母の生存中は同人の生活の面倒をみること。」というような文言を記載されておけばよいということになります。

但し,負わせるべき義務の内容については,「生活の面倒をみる」等の漠然とした表現は,どの程度のことをすればよいのかがハッキリせず,受遺者が負担した義務を果たしているかどうかが分らない可能性もありますので,できれば,「毎月末日に生活費として10万円を渡すこと」とか「1週間に最低1回は訪問して様子を確認すること」等のように具体的に書かれたほうがよいと思います。
ところで,附款付遺贈も遺贈の一つの形ですので,受遺者はそのような制限を負わされるのは嫌だと思うのであれば,附款付遺贈を放棄することは可能です([相続]の基礎知識のQ.9の内容をご参考になさって下さい。)。

なお,民法では,負担付遺贈を放棄された場合には,遺言をする方が,放棄されたときのことを別に遺言で定めてなければ,負担の利益を受ける方(上の例でいえば,母に当たります。)が自らその遺贈を受けることができると定められています。
又,例えば,負担付遺贈の場合で,極端な例ですが,「100万円の定期預金を遺贈するが,母の生存中は毎月10万円の生活費を負担すること」というような遺言をされた場合,そのような負担付遺贈を承認すると遺贈を受けた100万円は1年も経たないうちに無くなってしまい,その後は受遺者が自腹を切らなければならないようことになりかねません。

しかし,これに関しては,遺贈の目的の価格を超えない限度内においてのみ負担した義務を果たす責任を負うと民法では定められていますので,受遺者は遺贈を受けた範囲内で負担すればよいことになります。

上の例で言えば,100万円になるまで,10ヶ月間に限って,毎月10万円を母に渡せばよいことになりますし,そのような遺贈を放棄されれば,母が100万円を受け取れることになります。
又,負担付遺贈を受けた受遺者を監視し,きちんとその義務を果たすことを確実にするために,もし,負担付遺贈を受けた受遺者が,その負担した義務を果たさないときは,相続人は相当の期間を定めて義務を果たすように催告をすることができますし,それでも義務を果たさないときは,家庭裁判所に申立てをして,その負担付遺贈の取消を求めることができると定められています。

更に,遺贈を受けた方が相続人であった場合に,その遺贈を放棄された場合には,その遺贈はなかったものとして,その分の財産は相続人全員のものとなり,遺贈を放棄した相続人を含めて,改めて相続人等全員で遺産分割をすることになります。

又,遺贈を受けた方が相続人でなかった場合には,その方は遺産分割には関らなくなるということになります。
なお,負担付遺贈の負担の内容が,「親の生活の面倒をみること」等のように,扶養に関することである場合,受遺者が負担付遺贈を放棄してしまうと,扶養することも放棄されてしまうことになり,遺言をした方の意思が実現できないことになりかねません。

もちろん,法律上は直系血族(血のつながりのある親子関係だと思ってもらえば結構です。)と兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると定められてはいますが,遺言される方は特に誰かを特定して扶養をしてもらいたい(=面倒を見てもらいたい)と思って,そのような負担付遺贈をされることになるのでしょうから,事前にきちんと話をされたうえで,扶養することについて必要以上の負担を負わせないようにして,負担付遺贈を確実に承認してもらえるようにすること等の配慮が必要にはなると思います。
又,例えば,障害をお持ちのお子様がおられる方の遺言として,「子供の生活の面倒をみる」ことを負担とするような負担付遺贈をされることも可能ですが,これも扶養に関することですし,万一,受遺者がその負担付遺贈を放棄されてしまうと,遺言された方の思いは実現されないことになってしまいます。

特に,お子様が知的障害等をお持ちの場合であれば,お子様ご自身で自分の財産管理をすることは非常に困難なことになりますので,やはり,確実に遺贈を受けてもらえるよう,事前の調整が必要であると考えます。
負担付遺贈をお考えであれば,一度,専門家にご相談されることをお勧めします。
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